本尊『十一面観世音菩薩』
11の顔で全方位を見守り、衆生六道に生きる全てのものを救う観音様
十一面観音菩薩は、本来の顔以外に11の顔を頭部にもつ観世音菩薩の変化身です。梵名は「エガーダシャムクハ(ekadasamukha)」といい、意味はそのまま”11の顔を持つ者”となります。11の頭部面のうち最も高い場所にある顔は「仏面(ぶつめん)といい、教えを説く仏の顔を表しています。また前面にある3つの顔は「菩薩麺(ぼさつめん)」といい、人々の慈悲を示し善良な衆生に楽を施しています。左側にある3つの顔は、「瞋怒面(しんぬめん)」といい、悪行に対する怒りを表し邪悪な衆生を戒めています。右側にある3つの顔は「狗牙上出面(くげじょうしゅつめん)」といい、清らかな行いをする衆生を見て牙をむき出して喜んでいます。そして、うしろの顔は「大笑面(たいしょうめん)」といい、悪にまみれた衆生を笑い飛ばし改心を促しています。この様に十一面観音世菩薩は、厄除けや身体健全などのご利益「十種の勝利」と死後も地獄に落ちずに極楽浄土に行ける「四種の果報」があるとされ、千手観音世音菩薩と並び人気が高い観音様です。